製造工程 - 竹筆軸の場合 -

山で竹採り 大崎君
① 竹の伐採
冬季期間(11月~3月)に1年間使用量分の竹を伐採します。冬に伐採した竹は虫に食べられにくく、表面が硬く品質の良い製品になります。竹の種類は矢竹(やだけ)と女竹(めだけ)です。矢竹は主に大筆・中筆用、女竹は小筆・面相筆用です。伐採地域は岡山県と熊本県です。
② 竹の切断
山から伐採してきた2~4m程度の長い竹を節の部分が入らないように切断します。決められた長さは22.5cmです。切った竹は3種類(太/中/細)に分けて、輪の中に入れて揃えます。
③ 竹の煮沸
竹に含まれる余分な油分を取り除き表面の汚れを落としやすくするため、大きな釜の中で約10分間煮沸します。(細い竹なら一度に5万本以上煮沸できます)
④ 竹洗い
煮沸した竹を円柱状の大きなドウに入れ、回転させて水洗いします。
⑤ 乾燥
乾燥させるため、吉井川の河原に広げます。乾燥させる期間は約75日間。その間は、雪や雨が降ってもそのまま雨ざらしにしておきます。まんべんなく乾燥させるため、1週間に一度は熊手で竹をさぐります(天地返し)。この作業を行わないと竹の一部が青いシミとして残ったり、曲がった竹になったり、乾燥が不十分になってしまいます。
⑥ 軸拾い
乾燥できた竹を拾い集めます。
⑦ サルシ
軸同士をこすり合わせるように洗う自動洗浄機で、サルシ粉ともみ殻を混ぜて水洗いします。
⑧ 硫黄薫蒸
洗った竹を密閉された部屋に入れ、漂白作用がある硫黄で薫蒸します。燻蒸時間は60時間から80時間です。
選別機
⑨ 乾燥
河原に干して乾燥させ、軸拾いを行います。
⑩ 太さ選別 (1)
自動選別器でだいたいの太さを揃えます。1厘(0.3mm)ごとに太さを選別していきます。細いものは直径1分(3mm)、太いものは6分(18mm)程度の太さの竹に選別されます。
⑪ ムキ作業
ドウの中に石粉(クレンザー)と水を入れ密封、20時間ほど回転させると竹の表面が一皮ムケます。それを乾燥させます。
⑫ 硫黄薫蒸
洗った竹を密閉された部屋に入れ、漂白作用がある硫黄で薫蒸します。燻蒸時間は60時間から80時間です。
⑬ 選り
サイズごとにわけられた軸の品質を検査・選別します。色、曲がり、楕円、割れなどチェックして良品を選び出します。
⑭ 太さ選別 (2)
ゲージで再度太さを厳密に測り終えると、梱包して製品となります。
⑮ 梱包・出荷
主に広島県熊野町ですが、愛知県豊橋市、奈良県等にも出荷しています。
【備考】
  • 11月に仕入れた竹が出荷できるのは、早くても5月中旬頃になります
  • 使用用途:竹筆軸、煙管の羅宇、民芸品の材料、笛の材料、扇子の柄 他

冬場の竹採りの仕事に興味を持たれた方もお気軽にお問い合わせください。